毎日ゴキゲン♪の法則・スピ編

これからは「自分ファースト」で

エビデンスによる「何を食べればいいか」最適解☆☆☆ 

[読書日記]☆☆☆

世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
津川 友介
東洋経済新報社( 2018/04/13)
¥ 1,620

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世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
東洋経済新報社 (2018/04/13)
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家族が借りてきた本。以前、書店で平積みされているのを見かけて興味があったので、喜んで読んだ。
前後して読んだ勝間和代さんの『勝間式 食事ハック』では、医学的な根拠をこの本から引いていたので、同じタイミングで読めてよかった。


◆目次◆
第1章 日本人が勘違いしがちな健康常識
1 科学的根拠にもとづく本当に体に良い食事
2 食品に含まれる「成分」に惑わされるな
第2章 体に良いという科学的根拠がある食べ物
1 オリーブオイルやナッツは脳卒中やがんのリスクを下げる
2 果物は糖尿病を予防するが、フルーツジュースは糖尿病のリスクを上げる
3 魚は心筋梗塞や乳がんのリスクを下げる
第3章 体に悪いという科学的根拠がある食べ物
1 「白い炭水化物」は体に悪い
2 牛肉、豚肉、ソーセージやハムは健康に悪い
特別編 病気の人、子ども、妊婦にとっての「究極の食事」


  • 成分だけで見ず、食品でとろう
  • 白い炭水化物は体に悪い。だが、代わりに何を食べてもいいという糖質制限は疑問あり
  • 健康的な食事をする目的は血液検査の値をよくすることではなく、病気を防ぐこと

著者は医師で、現在はUCLA内科学助教授。ふだんはアメリカ在住で、年に何回か日本に帰ってくる、という生活だそうだ。

……本書の目的は、どのような食事をすれば脳卒中、心筋梗塞、がんなどの病気を減らし健康を維持したまま長生きできるかを説明することである(P38)。

エビデンスに基づく、今一番いいとされる食事についてまとめたのがこの本。
「エビデンスがすべて」というのがこの本の特徴だ。


おそらく、こういう本を手に取る人が最も知りたい内容は、以下に集約されている。
成分(βカロテンやリコピンなど)に注目が集まることが多いが、「成分ではなく、食品を摂ろう」というのが最近の傾向だそうだ。

 数多くの信頼できる研究によって本当に健康に良い(=脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる)と現在考えられている食品は
1.魚
2.野菜と果物(フルーツジュース、じゃがいもは含まない)
3.茶色い炭水化物
4.オリーブオイル
5.ナッツ類
の5つである。

逆に、健康に悪いと考えられているのは、
1.赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない。ハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪い)
2.白い炭水化物
3.バターなどの飽和脂肪酸
の3つである(P28)。


エビデンスにも強い弱いがあり、それについても言及がある。
※「むずかしい話は苦手」という方は、次のブロック「白い炭水化物は~」へどうぞ

ランダム化比較試験の方が、観察研究よりも強いエビデンス。
さらに、メタアナリシスの方が強い。メタアナリシスとは、複数の研究結果を取りまとめた研究手法のこと。
つまり、メタアナリシスの中でも、複数のランダム化比較試験をまとめたメタアナリシスが「最強のエビデンス」である、ことになる。

文中では、きちんとエビデンスがどの程度なのかについても触れられ、おびただしい数の参考文献が巻末には載っている。
さらに、最終章では子どもや妊婦、特定の病気の患者にいい食事について書かれているが、各界の専門家に協力してもらったという念の入れよう。
この本がいい加減な内容でないことがよくわかる。


「白い炭水化物は摂ってはいけない」というのが著者の一番大きな主張。白米は白砂糖とほぼ同じという表現も。
ただ、糖質制限は炭水化物を減らした分、代わりに何を食べるかが大事だという。「炭水化物さえ減らせばステーキでも焼き肉でも好きなものを食べてよい」という指導は間違っていると断言していた。

 2003~2004年には、アトキンスダイエットによって6か月は体重減少がみられるものの、12ヶ月後には体重が元通りになってしまうことが2つのランダム化比較試験で明らかになった。それだけでなく、極端な炭水化物制限の健康に対する長期的な影響はまだわかっておらず、心臓病などのリスクが上がる可能性も疑われている(P59)。

※『勝間式食事ハック』の健康的な食事に関する情報は、この本に拠るものが多い。
ちなみに著者のおすすめは代わりに野菜や果物を食べること。ボウルいっぱいのサラダに置き換えるのがいいそうだ。


本当に精製した炭水化物は悪なのか、という説はこの頃あちこちで見かけるが、その根拠として「研究が海外のもの(全粒粉と精製した小麦粉で作られたパンの比較)で、白米ではない」と書いてある記事があった。
ところが、この本では日本人の研究した、玄米と白米の比較データが用いられていた。ちゃんとしたデータがあったんだな、というのは発見だった。

何かひとつの情報だけを信じるのではなく、クロスチェックも大切だ。

 逆説的に思われるかもしれないが、本当に健康になるための第一歩は、
 1.テレビなどのメディアの健康情報
 2.本屋で売られている「健康本」(健康に関する本の多くが不正確な内容であり、本当の意味で健康になるための本ではないという意味を込めて、かぎかっこを用いて「健康本」と呼ぶ)
3.日本語で書かれたインターネットの情報
の3つはあまり信用しないことであると筆者は考えている(P165)。

著者は日本の情報はほとんど当てにならないと言い、おかしな情報に惑わされないための方法も教えてくれている。
信頼がおけるサイト(もちろんすべて英語)に自分のほしい情報があるか検索し、Google翻訳で日本語にして読むそうだ。
日本ではサイトへのアクセス数を増やすため、視聴率を上げるための情報も多いし、特定の商品を売るためのものもあるからだとか。


私は、データはあくまでデータだと思っている。数字はいかようにも使えるので、自分が主張したいことに沿う研究結果だけをピックアップすることも可能。鵜呑みにするのはどうかと思う。
さらに、データはあくまで平均値だ。すべての人がそこに収まることが本当に健康になれるのかはわからない。

ただ、「リスクを下げる」という意味では、知っておいてもいいかもしれない。
何が健康にいいのかという情報は日々変わるので、こういう本を読んでアップデートしている方がいい。
今どきコレステロールが高いから、とイカやタコを避ける人はいないでしょうけど。
卵は食べても大丈夫!という説を信じていたら、単純にそうじゃない研究も出てきているのは気になった(くわしくはメモをご覧ください)。


意外だったのは、「エビデンスしか信じない」スタンスなのでデータばかり見ているのかと思ったら、大事なのは血液検査のデータではなく、健康でいることだと書いてあったこと。

 この本でも繰り返し書いているように、健康的な食事をする目的は、血液検査のデータをよくすることではなく、病気を防ぐことである(P141)。

おそらく、現時点でもっともデータを多く使って解析し、導かれた内容だと思う。
「病気になるリスクを下げる食事」とはどんなものなのか、知っておいて損はありません。テレビや雑誌、インターネットの情報に踊らされないために、読んでみてください。
私のアクション:家で炊くご飯に雑穀を混ぜる♪
■レベル:破 わかりやすくまとめられていますが、研究に関するリテラシーがないとやや取っつきにくそう


次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
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