ふだんマラソンの本にはほとんど見向きもしない私。でも、「タイプ別・あなたに合うのはこれ!」みたいな診断は大好きなので、興味が湧いてちらっと見てみたら面白い!あっという間に読んでしまった。
「骨格によって3タイプに分ける」という方法が新鮮だ。
走り方はもちろん、レース前の準備や靴の選び方まで変わってくるという。
◆目次◆
はじめに
第1章 マラソンは「骨格」で走りなさい
第2章 あなたに最適の走り方を身につける!
第3章 「足運び」で走りが劇的に変わる
第4章 ウェーブ走で究極のエコドライブ
第5章 ウェーブ走を体得する簡単トレーニング
第6章 細胞分裂走で実力チェック
第7章 タイプ別42.195kmの攻略法
第8章 レース仕様のカラダ作り
第9章 自己ベスト必達!タイプ別レース攻略法
第10章 マラソンに効く!マル秘補給法
第11章 故障知らずの“非常識”コンディショニング
第12章 かなり間違っている市民ランナーのシューズ選び
おわりに
著者は、駒澤大学陸上部に在籍していたが、故障のため箱根駅伝は出場経験がないという。それを教訓に、今ではランニング障害(=故障)専門のトレーナーとして多くの人を指導している。
このメソッドは、多くのランナーを見る上でできあがったものだそうだ。
自分に合った走り方を判断するには、まず自分の骨格のタイプを知る必要がある。
その方法は簡単、「胴」と「脚」の長さをメジャーで測ってみるだけだ。
ここでいう「骨格」とは、胴と脚の長さのバランスのこと。
3つのタイプは次の通り。
胴の長さは、肩の骨の突起(肩峰)から股関節の中心まで。
脚の長さは、股関節の中心からくるぶしの中央まで。
胴 > 脚 →スイング走法(中本健太郎・野口みずき)
胴 ≒ 脚(太もも>ヒザ下)→ツイスト走法(川内優輝・木崎良子)
胴 < 脚(太もも<ヒザ下)→ピストン走法(福士加代子・中山竹通)
(P23-24)
※ただし、ハイブリッド型の人もいるそうで、実際には162通りもあるので注意が必要。この3タイプのどれもピンと来ない人は、著者のランニングクリニックなどに参加した方がいいかもしれない。
面白いのは、走り方だけではなく、手の振り方(というか回し方)もタイプによって違うこと。
それには理由がある。
ヒトのカラダはジグソーパズルのように独立したパーツの集合体ではなく、ひとつの固まりとして機能しています。どこかを動かすと、静かな湖面に石を投げ入れたように、全身へ連鎖反応が波及していくのです。
これを専門的には、「キネティック・チェーン(運動連鎖)」といいます(P27-28)。
人間はもともと、四足歩行の動物と基本的な身体構造は同じ。腕の動かし方を修正すればその影響は脚にも及ぶ。つまり、フォーム全体の修正ができるのだそうだ。
そのため、脚の動かし方と同様、手の回し方もタイプによって違う。手をうまく回すことによって、脚の動きも連動して改善できるのだ。
ほかにも、常識破りが満載だ。
「おわりに」にあった、魅力的なこの文。
月間走行距離を延ばすためにひたすら距離を踏めばレース後半に強くなるわけでもなければ、「ゼイゼイ」「ハアハア」と息が上がるほどひたすら自分を追い込めばスピードがつくわけでもないのです(P210)。
たくさん走り込まなくても、息が上がるようなスピードで練習しなくても、フルマラソンが走れるなら、やってみてもいいな、と思った*2。
実際、著者の指導する市民ランナーは、週1回の練習、月間走行距離20キロで3時間9分の好タイムをたたき出した人もいるそうだ。
効率よく負荷をかけることで、ボロボロになるまで自分を追い込まなくてもフルマラソンの距離が走れるようになるというのはすごい。
そのために、著者によれば「ペースを守る」のもNG。自分の状態やコースによってペースを上げ下げできる*3ように練習するというのだからびっくり。
合う合わないがありそうだが、うまく3つのタイプのどれかに当てはまる人は、試してみるとよさそうだ。
走ってみたいけど辛いのはイヤ、人生を捧げるほどランニングに時間は使いたくないという人や、いろいろやってみたけど記録が頭打ち、という方はぜひどうぞ。
もう少しタイプの診断が詳細な『トップアスリートのランニングフォームで自己記録がぐんぐん伸びる本』という本もあるので、こちらも読んでみたい。
私のアクション:まずは「ハアハア」せずに10キロ、を目指す
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
※ほとんど自分のタイプに当てはまる部分のメモなので、今回UPできるのは少ししかありません。ご了承ください。
当日の食事ポイント(P170)
基本的にはレース5時間前に起床し、3時間前に朝食。1時間前にお餅やおにぎりを補食してしっかり糖質を補給。
レース中にはとばくんやビーフジャーキーなどのおつまみ系補給食でミネラル分を、給水所で水分を補給する。
レース後の食事にも気を配る。
ゴールしたら30分以内に、事前に用意したヨーグルトやオレンジジュースなどを摂る。
ゴール後の昼食は、タンパク質、糖質、ビタミン、ミネラルをバランスよく含むメニューを。できれば定食系がよい。
生野菜サラダや刺身など生で食べる食品は酵素が豊富なので、疲労回復にお勧め。
レース終了後から2週間くらいは、普段以上に食事の栄養バランスを意識し、睡眠時間を意図的に増やす。
レース後2週間までは、免疫力が下がって体調を崩しやすいので、走り込みは控えて軽いジョグにとどめて血流を活性化、疲労回復に努める。
シューズは「火消しのポーズ」で選ぶ(P196)
地面に捨てられたタバコの火を消すように、片足でつま先立ちになって足首を外側にひねり、拇指球で床を支える。
この形はランニング中に地面から足が離れる状態と同じ。
試し履きをする時は、靴ひもを軽く結んでから、このポーズをしてみる。足裏のアーチがぴったりとフィットして、踵がすっぽ抜けなければOK。
3種類のソックスで試し履き(P198)
靴を選ぶ時にはソックスを3種類(普通の厚さ、厚手、薄手)を持参し、ソックスで微妙なサイズ調整をするとよい。
足の大きさに左右差がある場合は、小さい方*4に合わせる。