毎日ゴキゲン♪の法則・スピ編

これからは「自分ファースト」で

むずかしいこと抜き!コツコツ走ればマラソンは完走できる!☆☆☆

エリート市民ランナー・オット*1が借りてきた本。サブ3ランナー向けの本なのか、と思っていたら「初心者向けのメニューもあるよ」と言われたので、読んでみた。
衝撃的な内容だった。うっそー、と言いたくなるくらいシンプルな練習内容だったからだ。


◆目次◆
序 章 「サブ3請負人」と呼ばれて
第1章 嫌な練習・辛い練習はしなくていい
第2章 基礎的な走力の高めかた
第3章 苦しまないで走力アップ
第4章 15kmまでの練習でサブ3
第5章 ランニングが楽しくなる方法
第6章 目標タイム別<福澤式>練習プログラム
第7章 分割練習のすゝめ
第8章 練習はひとりで、レースは集団で
第9章 30kmの壁を乗り越える術
第10章 「走る」を支える「食べる」の基本
第11章 自己タイ狙いで自己ベストのレース攻略
第12章 目標必達! 黄金のペースメイク
おわりに

あと出しジャンケンみたいで恐縮だが、実は3月にフルマラソンを走った*2。以前このブログでも紹介した金哲彦さんの『誰でも「たった20回」の練習でフルマラソンを完走できる!』の通り練習し、遠征先にも持ち込んで前日の心得を読み込んで参加。本当にその通りに制限時間以内に最後まで走れたので驚いた。

とはいえ、あれは5キロ走って5分歩く、という最初から時々歩く作戦なので、本当の完走とはちょっと違う。一緒に走った友人は「来年も走りたい!」と誘ってくれるが、マラソンの練習は何しろ時間がかかる。金さんの本のメニューですら時間を捻出するのに苦労したのに、本格的にやるとLSDで何時間も走るとか、レースの1か月前には30キロ走らなきゃいけないとか、大変そうだからなぁ、と二の足を踏んでいた。

ところが。この本はそういう面倒な練習は一切不要、と断言しているのだ。必要なのは40分程度のジョグ*3を週3回と、週末10キロビルドアップ走だけ(注:サブ5レベルの場合)。もっと上のレベルだと距離や時間は多少増えるものの、それ以外の練習は不要だという。
何しろ、「嫌な練習・辛い練習はしなくていい」というのがポリシーなのだからすごい。


著者の福沢潔さんは、「ミズノランニングクラブ監督」という肩書きだ。本の内容によれば、市民ランナー向けのクラブの監督さんで、職業としてされているわけではないようだ。
それでも、多くのクラブ会員を目標タイムで走らせた実績がある。さらに「ペース・アドバイザー」として目標達成をめざす会員と一緒に走り、サブ3からサブ5まで、たくさんのゴールを見届けてきた人なのだ。
ご自身は還暦を超えた現在でも、安定してサブ3をキープしているそうだ。サブ3を目指す人と一緒に走ってゴールできる*4のだから、サブ3以上のレベルは必要なのだ。
それだけの実績を持つ人が、「練習はこれだけで充分」と断言するのだから説得力がある。

 基礎的な走力を底上げするには、小さな練習をコツコツと繰り返すことが実は近道なのです。5kmも10kmも、1回走るだけなら大した距離ではないかもしれませんが、その距離を繰り返し走ることが、基礎的な走力を底上げするわけです(P30)。

・マラソンは42.195km走るが、基本的にはスピードも持久力も10kmまでの積み重ねでしか育たない(P34)
・基礎的な走力を伸ばすには→1回10km、15kmを「LTペース」の範囲内で繰り返し走る※LT=乳酸性作業閾値
LTペースとは、ゼイゼイ、ハアハア息が上がることなく、鼻呼吸でも走り続けられる程度のペースと考えればよい(P34)。


この本には目標達成した実例が多く紹介されているが、女性でサブ3達成という偉業*5を成し遂げた人でも、毎日ほぼジョグペースで走っているだけで、あとはクラブの練習会で多少負荷をかけたくらい。じゃあ、一般的な本にあるさまざまな練習は何なのか、と思う。
故障するほど負荷をかけてはいけない、というのが著者の主張。また、30キロ走などを高負荷の練習をすると疲れが残り、レースで結果を出せないことが多い、という。
30キロ走を否定するわけではないが、わざわざする必要がないのだそうだ*6

私も以前、別の本で読んだ「階段を駆け上がる練習」を真面目にしていたら膝を痛めて1か月も走れなかったことがあるので、無駄に負荷をかけすぎたんだな、と笑ってしまった。


著者のメソッドのポイントはビルドアップ走。それも、時計を見ながらペースを上げるのではなく、自然に「上がる」ことが大切なのだそうだ。
ただ、最後の1キロだけはしっかりペースを上げるのが最重要ポイント。

ふだんの練習も自分の感覚を大切にする。そのために必要なのが「練習日誌」を書くこと。記録を続けることで自分のバイオリズムのようなものがわかり、それに合わせて練習の強度を変えているそうだ*7


ほかにも、とにかく常識破りのことばかりだ。ふだん飲んでいるならレース前日に軽くお酒を飲んでもかまわないとか、練習後のクールダウンは簡単な体操程度でいいとか、レース中のペースは感覚でいいので、1キロごとに時計を見るのは不要とか、そんなのでいいんですか、と言いたくなるくらい。カーボローディングも、レース中にジェルを摂るのも、著者に言わせれば必要ないそうだ。

これでサブ5目指せるなら、やってもいいかな、と思えた。そのくらい、シンプルなのだ。
もちろん、サブ3も目指せる(サブ5、サブ4、サブ3.5、サブ3のメニューがあります)。


著者もサラリーマン時代は通勤ランで距離と時間を稼いでいたそうなので、通勤ランの心得もくわしく紹介されている。
ここには書かなかったが、レース前の準備やレース中のポイントなどもきちんと書いてあり、心強い。


さまざまな練習方法が合っている人は別*8ですが、私のようにそれに負担を感じる方や、故障がちで思うように走れない方、これから走ろうかな、という方におすすめです。
私のアクション:サブ5メニューで練習してみる?
■レベル:破 常識破りの内容なので。でも、「常識」よりもずっとシンプルで取り組みやすいです。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
life.yasuko659.com


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*1:コンスタントにサブ3で走っております。今の目標は2時間55分切り

*2:3月13日の名古屋ウィメンズマラソン。野口みずき選手のラストランになったレースです

*3:この本では「ジョッグ」表記です

*4:人のペースに合わせて走るのは大変だし、本人や周りの状態に気を配ったり、アドバイスをしたりするので、余力が必要です

*5:女性は3時間15分を切れば、国際レースへのエントリー資格が得られます

*6:やるなら「走力確認」のつもりで、とありました

*7:クラブ会員には日誌を提出してもらい、著者がコメントしているそうです

*8:オットはこの本を読んだあとも、30キロ走は続けるそうです