※文庫版あり→『「疲れやすい」が治る本 (だいわ文庫)』¥ 702
心療内科医にして国会議員の鴨下一郎先生の本。
この本も中野ジェームズ修一さんの『5歳若返る からだにいいこと 5歳老化する からだに悪いこと』の後ろにあった広告を見て図書館で借りたもの。
さらっと整読*1で読めばいいや、と思っていたのだが、読んでみたら意外に(失礼)内容が濃く、結局しっかり読んだ。
◆目次◆
はじめに
第1章 こんなに疲れやすいのはなぜか
第2章 あなたの疲れはどんな症状か
第3章 疲れにくい習慣、ストレスをためにくい考え方
第4章 たまった疲れをリセットしよう
第5章 ぐっすり眠って、毎朝気分よくすごそう
参考文献
まずはなぜ疲れているのかを探る。著者は疲れには3種類あるとしている。
活動したことによるもの、体力や精神力の不足によって感じる疲れ、病気が原因のもの。
チェックリストもついているので、自分の疲れの原因がわかるようになっている。
活動して疲れた場合は、休息をすれば回復する。病気によるものであれば、適切な治療や対応をすればほとんどは回復できる*2。
問題は「体力や精神力不足による疲れ」だ。
著者によれば、疲れたくないからできるだけ疲れない方に、楽な方にという選択が体力・気力の低下を招き、より疲れやすくなってしまうのだそうだ。
体は使わないことで筋肉が固くなり、早く老化を招くことにもなる。
著者がすすめているのは「アクティブレスト」という考え方。もともとはスポーツでの考え方だが、“筋肉の疲労は急に休ませるよりも、ゆっくりと動かすことによって疲労物質の乳酸をエネルギーに変えることができ、回復が早い”というものだ。
動いて疲れているなら休息が一番だが、“疲れた”と感じているだけなら、意外に体を動かしてしまった方がスッキリするというのだ。本来の疲れに持って行くことで、「動く→休む→回復」のサイクルに乗せられる。
実は、動いていない時ほど疲れた感覚があるので、この方法は頷ける。また、現代に多い「頭だけ疲れている」場合にも、体を動かすことでバランスが取れるという。
著者のお薦めはストレッチ。今の身体の状態をチェックすることもできるし、回復を促すことにもなるそうだ。
また、精神的には疲れに対する耐性を作ることが重要だという。疲れやすくなっている、というのは単に「疲れの耐性が下がっている」場合も多いそうだ。とても耳が痛かった。
ストレスが溜まった時の回復方法や考え方のコツ、栄養面のアドバイスなどもある。非常にオーソドックスな内容だが、これ1冊でバランスよくまとまっていると思う。文庫化されているのも納得だ。
忙しい国会議員である著者の時間術や、人生論なども読めてお得かもしれない。
とにかく疲れていて、むずかしい本を読むものイヤ、面倒なことを強要されるのもイヤ、という方に特におすすめです。
私のアクション:脚のストレッチを日課にする
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読書日記:『なぜか「人が集まる人」の共通点』※以前読んだ著者の本。ジャンルは違います
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
疲れには3種類ある(P14)
1.活動した分だけ感じる、当然の疲れ
2.体力や精神力が足りないために、必要以上に感じてしまう疲れ
3.病気が原因による疲れ
慢性的疲れの8割は貧血、うつ病、睡眠覚醒スケジュール障害(P52)
心もたくさん使えば疲れる(P64)
がんばり屋の人ほど、うつになりやすい傾向がある。…常にがんばってしまう。周囲の人間関係にいつも気を配っている。
それだけ心のエネルギーをたくさん使っている。体をたくさん使えば疲れるように、心もたくさん使えば疲れる。
ひとつ動く時には3つの仕事を片づけるつもりで(P91)
1回動く時に、3つの仕事をいっぺんに効率よく片づけるにはどうしたらいいかを考える。すると、時間の余裕が生まれる。
ストレス解消法はワンパターンに頼らず小分けに(P107)
いろいろなストレス解消法を小分けにする。ある時は美味しいものを食べに行く。ある時は友だちに愚痴を聞いてもらう。ある時はマッサージに行く。何か楽しい趣味を持つ。
疲れに対する耐性をつける(P112)
疲れやすい。勝負にも負けやすい。仕事でも負けやすい。それは肉体的に鍛えが足りないのか、精神的に弱いのか、自分なりに見極める必要がある。
(中略)
疲れるのは確かに嫌なこと。だから疲れることを避け、なるべく楽なことをしようとする。ところが、そうすればするほど、ちょっとしたことで疲れる人間になってしまう。
耐性のある人間になるには、自ら進んで疲れることに挑戦してみる。だんだんと疲れにくい人間になる。
柔軟性を保つことが重要(P136)
疲れると体は硬くなる。筋肉がこわばって締まり、関節も硬くなる。体が硬くなる→血行が悪くなる→さらに疲労が溜まりやすくなる
体が硬くなる→日常の動きが小さくなる→関節の可動域減少→運動量も減少
筋力、持久力、柔軟性を維持することが、疲れにくい体を作る(P136)
体が硬くなっているのは「疲れている」というサイン(P138)
疲れの自覚がなくても、柔軟性のチェックをしてみて体が硬くなっていたら要注意。
ストレッチを日課にすれば、疲れを取りながら疲れをチェックすることもできる。
いつもより体が硬いな、と感じたら、早めに寝て睡眠をたっぷり取るなど、早め早めに対応できる。
体がリラックスすれば、精神もリラックスする(P143)
「リラックス、リラックス」と必死になると、交感神経が優位に働き、体がこわばってしまう。
そういう時には、ちょっと体を揺すって筋肉を緩めるとよい。
マラソンランナーがスタート時にやっているように、腕をブラブラされながらその場でぴょんぴょんと跳んでみる。
ストレッチを深い呼吸とともにやってみる。
湯船の中で正座する(P151)
ももの前側の筋肉が伸びる。
筋力が弱って関節に負担がかかる人でも、湯船の中なら軽い負担でできる。
血糖値が上がると成長ホルモンの分泌が妨げられる(P166)
寝る前に甘いものやご飯などの糖質をたくさん摂ると、血糖値が上がってしまうので注意。
スッキリ目覚めるには、布団を1枚はぐ(P206)
体温を上げればすんなり起きられるが、布団にくるまって暖かくするのは逆効果。
布団を1枚減らすと、寒さを感じた体が、体温を上げて調節しようと働き始める。
目覚ましが鳴ったらまず1枚布団をはぐ。
寒さを感じると、体が目覚めて、布団から出たくなる。思い切って布団から出てしまえば、体温が上がり始めて目が覚める。
*1:約15分で読み、要点をまとめる読書法。くわしくは『必要な知識を15分でインプットできる速読術』の読書日記をご覧ください→http://d.hatena.ne.jp/yasuko-imageup/20130913/p1
*2:基本的にはきちんと医師の診察を受けることですが、うつ状態の場合の対応方法や、考え方の変え方にも記述があり、睡眠障害もていねいに説明されています