毎日「ゴキゲン♪」の法則・暮らし編

「暮らし」をみがく読書日記。今の関心は健康的な食べ方、質のいい睡眠、時短家事です。

身体のしくみを知って、賢くストレスをかわそう☆☆☆


この本との出合いは意外なところだった。それは、前に借りた人の「貸出票」。
図書館で本を借りるとその日借りた本のタイトル一覧と返却期限を載せた「貸出票」を渡してくれる。それをしおり代わりに使う人が多いようで、読んでいるとよく間にはさんであるのだ。
刺激的なタイトルに興味を持ち、調べてみたら竹内薫さんの本だった。


◆目次◆
はじめに
第1章 自然な笑いが病を跳ね返す~健康の遺伝子をONにする~
村上和雄先生に聞く
第2章 男性ホルモンが老化を防ぐ~35歳からの更年期に備える~
堀江重郎先生に聞く
第3章 慢性ストレスを運動で分断する~脳とエクササイズの関係~
生田哲先生に聞く
第4章 怒りとの上手な付き合い方~負の感情を連鎖させない~
名越康文先生に聞く
おわりに

竹内さんはサイエンス作家*1。以前『99・9%は仮説』を読んで面白かったのと、STAP細胞論文の問題で世の中が大騒ぎになった時、「科学者」の肩書きを持つ人たちが人格否定と言ってもいいくらい激しく非難したのに、竹内さんだけは中立*2というか、とても人間味あふれるコメントだった*3ので、すっかりファンになった。
竹内さんの本なら読んでみたいと思い、さっそく借りた。予想していたのと少し違ったが、なかなか面白かった。


目次を見ればわかる通り、専門家に取材した内容をまとめたものだ。

…これまで私が出会った無数の専門家のなかから、本書では、4人の賢者に白羽の矢を立て、現代日本人が抱える「ストレス」とどうつき合えばいいのか、教えを乞うことにした(P5)。

さまざまな面からストレスに対するアプローチの方法を探り、うまくダメージを避けましょう、というのがこの本のテーマだ。
実はタイトルで期待するほど直接「老化をどう防ぐか」という話は出てこない。ただ、4人の先生の話ではやはり共通して「ストレスは身体に大きく影響する。しかも慢性化すると大きなダメージになる」そうなので、ストレスをうまく避けられれば、結果的に老化を遅らせることは可能になるはずだ。

4人の先生は確かにすごい方々で、村上先生は吉本興業と共同で笑いが身体に与える影響の研究者として有名だ(関西だけかもしれませんが)。
生田先生はビタミンやミネラルなど必要な栄養素をしっかり与えることで体調を回復させる「分子整合医学」の提唱者として知られる。
名越先生は今さら説明するまでもない、テレビ出演も多く、著書もたくさん出されている精神科医だ。

堀江先生は、きちんと読むのはおそらく今回が初めてだと思うが、日本初のメンズヘルス外来を開設した医師。第2章を読むと男性ホルモン減少の及ぼす影響の大きさに驚かされる。
特に「テストステロンの減少がメタボを生んでいる可能性がある」ことにはショックを受けた。生活習慣病でも何でもなく、ただ単に“テストステロンの減少値が大きい人が変調をきたした結果”、かもしれないのだ。しかも、これは男性だけの話ではなく、女性も同じらしい。

こんな風に、一般の人が知りたい最新の研究結果を、竹内さんが聞いてわかりやすくまとめてくれたのがこの本。


村上先生の研究も、“漫才を見たあと、患者さんのNK細胞が増えた”ということしか知らなかったが、もっとさまざまなよい影響があるそうだ。
名越先生の章も竹内さんのインタビューが冴え渡り、名越先生の著書を読むより面白いのでは、と思ったくらい*4

するすると読めて、新しい発見もあって、ああなるほどと納得できる。
そして、村上先生の次の言葉が、この本を象徴していると思う。

「昔からよく『病は気から』なんて言うでしょ。ここで言う気とは、すなわち心のこと。私はね、これはやっぱり正しいと思う。若さや健康を保つ秘訣として、よくバランスの取れた食生活と適度なエクササイズが挙げられます。これは正しいのだけど、食事と運動で“必ず”健康になれるかというと、そうでもない。たとえば、大きなストレスにさらされ続けると、胃潰瘍口内炎ができることがある。これは食事と運動だけでは100%防げない。やっぱり、人間は食事と運動だけの生き物じゃないんですね。心があるからです」
――村上和雄さんの言葉(P18)


心と体の関係について、医学もここまで研究が進んでいるのか、とちょっとホッとした。

自分の体がどんな仕組みになっているのかよく知った上で、上手にストレスを避けるのは賢明なやり方だし、もしかしたら今後必須のリテラシーになるかもしれない。
30歳を過ぎた方は一読をおすすめします。
私のアクション:イライラしたら「バカンス中の自分」をイメージする
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

どの遺伝子を持っているかではなく、どれが働いているかが重要(P28)

例1)糖尿病になりやすい遺伝子を持っていても、それで必ず糖尿病になるわけではない。スイッチがONにならなければ、発症しない。

例2)高血圧の発症を抑えている遺伝子がある場合、それが正常に働いている間は高血圧にならないが、何らかの理由でOFFになった時、高血圧を発症する。

DNAとか遺伝子というと、宿命的なニュアンスがあるが、人生は遺伝子だけに支配されているわけではない。…人間の遺伝子発現にはアドリブ部分が多い。遺伝子にはダイナミックに変化する可能性がある。

ストレスが溜まったら笑ってみる(P40)

村上先生がおっしゃる“笑い”とは、単に口を開けて笑うと言うことだけではない。毎日を明るく、楽しく過ごすという意味が含まれている。

「利他的な行動」は体にプログラムされている(P49)

アポトーシス(細胞死)は細胞の自殺。
なぜ細胞が自殺するかというと、人間の身体をよりよい状態に保つために、自らが犠牲になって他を活かそうとするため。…つまり人間は、他人のために働く、社会の役に立つことに喜びや生きがいを持つようプログラムされているとも言える。

無の状態から細胞が1個生まれる確率は、『1億円のジャンボ宝くじに100万回連続で当たる確率と同じ』(P60)

生きているというのは、そのくらいすごいこと。それを惰性で暮らすのは、ちょっともったいない。

交感神経優位の状態にはふたつの弊害がある(P67)

体内の活性酸素が増える。
体内のテストステロンが減少する。

テストステロンの量は、基礎代謝に大きく関わる(P72)

テストステロン値が高いと、筋肉がつきやすくなる→筋肉が増えると、1日の基礎代謝量も多くなる→内臓脂肪がつきにくい

メタボの原因はテストステロンの低下かもしれない(P72)

日本人の食生活はアメリカ人と比べてはるかに健康的。毎日何キロも脂身ステーキを食べるわけでもないし、ジャンクフードもそれほど多くない。日本人はだいたい同じような食事を摂っているのに、メタボになる人とならない人がいる。
根本的な問題としてテストステロン値の高低があると考えた方が自然。

テストステロンにはミトコンドリアを健康に保つ作用がある(P76)

※ただしまだ検証中の段階
テストステロンの低い人と比べ、高い人の方が長生きということがわかっている。

短期的ストレスならコルチゾールで乗り切れる(P116-7)

試験や仕事の締切でストレスがかかっている時は、副腎からコルチゾールというホルモンが出る。身体にエネルギーを供給し、免疫力を高める。
試験や大事な仕事が終わった瞬間、力が抜けて風邪を引いたりするのは、コルチゾールの減少で免疫機能が低下したから。コルチゾールによる免疫力の向上は、あくまで一時的なもの。

ストレスが長期化・慢性化すると脳にダメージが出ることも(P117)

コルチゾールは一種の神経毒でもあるので、脳の神経細胞を破壊する。特に海馬に与えるダメージが大きい。大きなショックを受けた時に、一時的に記憶喪失を発症することがあるが、これは海馬がダメージを受けたことによるもの。
海馬の損傷はうつ病アルツハイマー病の引き金になる。

うつ病アルツハイマー認知症の前兆とも(P122)

うつ病が進行するといずれアルツハイマー認知症を発症する可能性が高い。

人は赤ん坊の時から「怒っている」(P145)

赤ちゃんは泣くことで要求している。要求は明確な「怒り」である。

おっぱいを飲みたい、寒い、おしりが気持ち悪いなど、自分の欲望が満たされていない状態に対する怒り。泣いているのはお父さん・お母さんに対して、あるいは状況に対して怒っている。

人間のコミュニケーションは怒りによる成功体験から始まる(P147)

何かの違和感を覚えた時、誰かに何かをしてほしい時は、怒ればいい。どんな人間でも、3歳くらいまでの間に、その成功体験を持ってしまう。だから、何かの不満があった時、人間は必ず怒る。

怒りをため込みすぎると心身に悪影響を及ぼす(P148)

人間が最も精神的なエネルギーを消費するのは、怒りの感情を持ってしまった時。それがネガティブな感情のもとになり、“怪物的な力”で体内環境に悪影響を与えることがある。体調不良や病気の原因にもなりかねないので、怒りはなるべくため込まない方がいい。

みんな自力で疲れていく(P156)

きっかけは自分の外の要因かもしれない。でも、それを増幅させて、それを根本的な疲弊にまで持っていくのは、自分の心。人間は本質的に刺激を求める。たとえその刺激がネガティブなものでも求めてしまう。むしろネガティブなものほど、強烈な刺激になる。

特にベッドの上での妄想は危険(P156)

頭の中に自動的に沸いてくる空想は、最終的に妄想――つまり、“悪いもの”になっていくことが多い。もっとよくなりたい、という欲望が空想、さらには妄想になっていく。

満たされない思いは怒りに変わり、さらに不安や恐怖、落ち込みに変質する。最悪の場合、自分自身を責め苛むパターンに陥ってしまう。

人間は、身体感覚を刺激するきっかけがないと、気持ちを切り替えられない(P158)

何らかの形で自分の中によい刺激を取り入れて、気分を変えるしかない。
意識して気分転換することが必要。

瞑想は姿勢が大事(P167)

背筋をまっすぐに伸ばすことが大事。胸を張るんじゃなくて、背骨を一つひとつ積み木を積んでいくように、リラックスしながらまっすぐにする。最後に身体の上に頭をポンと乗っけて、頭の頂点を上から、ちょっと吊るされている感じにする。
背筋が曲がってくると、「あ、買い物するの忘れた」とか「あの時、友だちに悪いこと言った」と、妄想が沸いてくる。

ちょっとずつ自己鍛錬する(P183)

人間の精神年齢は、自覚して少しずつ積み重ねていくことでしか成熟しない。具体的には、やっぱり自己鍛錬。自己鍛錬といっても、難しいことではない。たとえば、電車に乗っている時に「いつもはここで座るけど、あと2駅立とう」とか「ちょっと疲れているけど、1駅前で降りて歩こう」というのも、立派な自己鍛錬。

モヤモヤした時は、「とりあえず目の前のことにちゃんと取り組む」(P185)

今の目の前のことに集中して、他のことは考えないようにする。それがネガティブな感情を遮断する最も手っ取り早い方法。

*1ペンネームで小説も書かれています

*2:厳密には竹内さんは現在「研究」されているわけではありませんが、科学的手法や手続き、論文の常識などについてはよくご存じだと思います

*3:TBS系列「ひるおび」など

*4:メモでは涙を飲んで関西弁の言い回しをカットしてありますが、名越先生の一番のよさは語り口にあると思っているので