毎日ゴキゲン♪の法則・スピ編

これからは「自分ファースト」で

断捨離して後悔しないために☆☆☆

 

捨てる女 (朝日文庫)

こちらもクロワッサンで見かけてほぼ同時期に図書館で予約したのだが、「断捨離本」として人気が高いのか、ようやく順番が回ってきた。

入り込みすぎないよう(理由は後述)、注意しながら一気に読んだ。

 

◆目次◆
Level I Start
職種と荷物
カタストロフ襲来
冷蔵庫の聖域
家具の圧迫
靴とも、さらば
さっくり捨てろ
不味いだけでは捨てられぬ
夏に生まれた生態系
腐れ縁チェア
三度目の死に支度

Level II Fire
捨てまくり着火点
ゴミに、歴史あり
豚とゴミ
シロアリ退散
糞尿を浄化せよ
ヘルハウスの清算とその後
豚のいたスナック
素敵な見せ合い

Level III Storm
蒐集の血統
三月十一日
さらばトイレットペーパー
アーフターベの極意
一日一枚ハンドタオル

Level IV Festival
本が減らない!
本収納の永い旅
紙と製本のボディブロー
さらば「お宝本」
イラスト比丘尼、如是説法
言葉にできない
この一冊だけは
恥の展示
恥に値段を
恥のあとさき
人生折り返し包丁
そして多肉が残った
さらば捨て暮らし
あとがき

本の雑誌」の連載をまとめたもの。連載期間の表記はないが、東日本大震災を挟んで4年くらいはありそうだ。

『身体のいいなり』はどうやってヨガで健康になったのか知りたい、と単純な興味で読んだのに、あまりのヘビーさに胃が痛くなり、回復するのに1ヶ月ちょっとかかった。
こんな言い方をしては失礼だが、謙遜を通り越して自己卑下っぽい書き方が多い気がする。自分のことのように入り込んで読むタイプの私には、著者の本はやや危険なのかもしれない。

ということで、今回は意識して距離を取りつつ読んだところ、幸い胃痛にはならずにすんだ。
とはいえ、著者が捨てる気になったのは乳がんの手術後、狭いところや風通しの悪いところに居られなくなり、本やものがぎっしり詰まった自宅が辛くなったのがきっかけだ。
病気の話はもちろん出てくる。本をはじめ、いろいろなものが蓄積されたいきさつも語られる。著者の人生丸ごと振り返り、連載なので経過をリアルタイムに追う部分もある。
痛快な「断捨離本」ではない。


体調を考慮しながら、何年かかけてものは減っていった。間に離婚されているので、転居や仕事場の退去など、場所を変えるたびにごっそり処分、も。
引っ越してかなりものが減ったあとに東日本大震災が起きているので、減らす前なら大変なことになっていただろう、という。


著者は、「断捨離」の本が最後まで読めなかったそうだ。

 今の自分の、捨てまくりたくてたまらん心境の先にあるものが、幸福(当社比)だとは、まるで思えない。さっぱりはするだろうけど、そのさっぱりってそんなに偉いものか??それに本当に捨てるだけで、魂のステージがあがるか??(P122)

というわけで、著者の捨て方も自己流。


著者は仕事のため半分、趣味半分でとにかく本が多く、年々増えるイラストの原画も捨てるのは辛い。にっちもさっちもいかなくなり、知人のすすめで展示即売会を開く(これがまた、いろんな意味で「アイデンティティの危機」的状況になったようです)。

そういう、普通の人にはできそうもない特殊な経験もした結果かもしれないが、実は著者、あとがきですでに捨てまくったことを後悔しているのだ*1
「捨てればスッキリすべてが上手くいく」わけではないのだな、と知ることができたのはよかった。

自分の性格や傾向、捨てても平気なものとダメージが大きいものを、あらかじめよく知っておくことが後悔しない秘訣かもしれない。
ちなみに、先日見かけた断捨離のムックによれば、断捨離したいもの1位は夫なのだそうだ。著者も夫を断捨離したとも言える(捨てて後悔したもの、の中にご主人はなかった)。


著者は現在、小豆島に移住されている。インタビューがあったので貼っておきます。
参考:新四国人 文筆家・イラストレーター 内澤旬子さん――朝日新聞デジタル
どこに住むか、どれだけものを持つか、どんな風に暮らすか、理想は人それぞれなので、自分が何をしたいのか最初によくわかっておくことが大切なのだと思う。


特殊な本だと思うので、断捨離したいすべての人向きではありません。
『身体のいいなり』を読んで著者をもっと知りたい、と思った方や、趣味で収集したものを手放したいが踏ん切りがつかない、という方はどうぞ。

※この本のメモはありません

 


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*1:クロワッサンで読んだ記事にもそう書いてあったので、読みたくなったところもあります