毎日ゴキゲン♪の法則・スピ編

これからは「自分ファースト」で

坂崎千春さんってこんな人



「恋と本とごはんのABC」というサブタイトルがついているが、私が一番惹かれたのは新装版を出す時に追加されたお父様とのことを書いた「万華鏡」という話。年老いた父親がもうそんなに若くない娘を心配して夜に駅まで送っていくというエピソードが書いてあるのだが、ついこの前実家から戻る時に父にやってもらったばかりなので妙に心に染みた(いつもは母が送ってくれるのだがなぜかこの時は父が)。


もちろん恋の話もたくさん出てくるが、この本を通して貫かれているのは「片想い」だ。坂崎さん、両想いになったことがないなんて書いて大丈夫ですかっ、と思ってしまった。いやしかし、私だってオットに拾ってもらわなければ似たような状況になっていたに違いない、それどころか私は手に職もないからさらに悲惨なことになっていて親に「不憫だ」とか言われていたんじゃないだろうか、とぐるぐる考えてしまった。あまりにもリスキーな人生。


それと、一番胸打たれたというか、共鳴してしまったのは「U・アンダーグラウンド」の項のイラスト。失恋した友達が泣きながらスイスロールにかぶりついて1本食べてしまった話が描いてあるのだが、想像しただけで笑っちゃう絵なのに本人は真剣そのもの、そのギャップの悲しさになぜか私までわんわん泣いてしまった。

 


スイスロールというのはたぶんヤマザキのスイスロールと思われます。スーパーでよく安売りしているロールケーキ。今のおしゃれなロールケーキと違い、しっかり長さがあるあれですよ。まともな精神状態なら絶対1本食べない人でも失恋すると食べてしまえるんだろうな。私はやったことがないけど、気持ちはよくわかる。失恋した時って何であんなに食べても食べてもお腹が満たされないんだろう、と悲しくなる。


昔「悲しくなりたい時にはユーミンを聴く」という人がいたが、私にとってはそれに似た本かもしれない。でも、おいしい料理や本の話もたくさん出てくるので、それだけでも楽しめる。懐かしかったのはバウルーというホットサンドイッチができるフライパンのようなもの。うちにもあった。まだあるかな。今度帰ったら母に聞いてみよう。