※文庫版あり→『服を買うなら、捨てなさい (宝島社文庫)』
書店で平積みになっているのを見かけ、興味を持った本。
人気らしく、図書館でかなり待ってやっと借りられた。
「確かに、これは人気あるわ」と納得の1冊だった。
◆目次◆
はじめに――自分自身の、トップスタイリストになるために
第1章 おしゃれな人ほど、少ない服で生きている
第2章 ムダ服を増やす、さまざまな罠
第3章 いらない服とすっきりお別れする方法
第4章 理想的なワードローブ大検証!
第5章 買い物に出かける前に
第6章 買っていい服、ダメな服
第7章 おしゃれは「トレンド」から「スタイル」へ
第8章 これからも、ずっと素敵でいるために
おわりに
著者はキャリア30年を誇る人気スタイリスト。1959年生まれで現在も第一線で活躍する人だ。
そんな人に、「どの服を捨て、どれを残すか」を指南してもらえるのは素晴らしいことだ。
片づけの本はとにかく「捨てろ捨てろ」の大合唱になりがちだが、捨てまくった結果着る服がなくなった、という人は多い。
それは「捨てるべき服と残すべき服の判断基準がわからない」まま捨てたから、とも言える。
さらに、捨ててクローゼットががらがらになったのはいいが、次に買う時に自分の買い物の基準がそのままだと、また同じような「たくさんあるけど着たい服がない」パンパンのクローゼットを作り上げる可能性が高い。
センスのいい服だけが並ぶクローゼットを手に入れるための考え方を教えてくれるのがこの本だ。
流行なんて関係ない。
自分をよく見せたもの勝ち。
そのためには己を知り、今の姿や生活スタイルを考え、雑誌や流行に惑わされることなく、自分に有利な情報やスタイルだけを上手く取り入れる(P3-4)。
ワードローブは、偏っていていい。
服をたくさん持っているから幸せになれると思ったら大間違いです。
あなたを美しく見せる服“だけ”を適量持っているのが理想です。
これが、大量の服に出会い、所有してきた私の結論(P5)。
長年雑誌のスタイリングを担当しているはずの著者が断言する。
日本人女性は「バリエーションの呪い」にかかっている。
よく雑誌で見かける「1か月着回しコーデ」の特集。プロがやっても1か月に何日かはダサい日ができてしまうそうだ。
「毎日違う服を着なければ」という強迫観念が、たくさんの服を持ち、結果的におしゃれから遠ざかっているという。
それをやめるだけでおしゃれ平均値が3割アップというから驚きだ。
要するに、「おしゃれな人」とは「ダサいものを着ない人」のことです。
おしゃれテクを研究するより、もはや似合わなくなったダサい服を手持ちから排除するだけで、誰でもおしゃれの底上げができます。
ということは、「毎日違う格好をする」ためにワードローブについ混ぜてしまっていた、バリエーション用のイマイチな服をバッサリとカットしてしまえばいいのです(P26)。
私が一番印象に残ったのが、「“一生もの”という考え方はもはや通用しない」こと。
昔はお値段の張るものは「一生ものだから」と言って大枚はたいて購入し、大事に着たり使ったりした。
だが、今は流行のサイクルが速くなったり、ハイテク素材になった分、長年着続けることは不可能になっているため、そういう考え方そのものがすでに古いのだそうだ。
気候も変動が激しいので、今着ている服が来年以降も着られる保証はない。
というわけで、いかに「今」着られる服を選んでいくかがポイントなのだ。
また、女性にとっては切実な問題、「容姿の変化」にどう向かい合うか。
若作りにならず、自然にいられるさじ加減が重要だ。その辺りのこともていねいに書かれているので心強い。
この本を書くきっかけは、先に出した50代向けの本が、20代、30代にも広く読まれていたからだそうだ。
それなら、とその世代に向けて新たに書かれたのがこの本だが、幅広くどの世代が読んでも役に立つことがいっぱいだ。
せっかくすっきりしたクローゼットが、また「着られない服」で一杯にならないよう、この本でぜひ「自分自身のスタイリスト」になってください。
私のアクション:「今、何が流行っているのか」にアンテナを立てる
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
「買い足し」より「買い換え」(P34)
同じグレーのニットでも、形やディテール、色味、素材などが毎年微妙に変わるし、去年の自分もまた、今年の自分と同じではない。
今後服を買う時は、まず定番もののアップデートを。
その方が、服の数を一定にキープでき、ファッション全体も新しく見える。
ハンガーの数をキープする(P35)
ハンガーの数を増やさず、一定数をキープすると決めておく。ハンガーに掛けられない服が出てきたら、どれかを捨てる時。
「おしゃれな人」と「おしゃれが好きな人」は違う(P48)
ブランドもの・トレンドものが好きだけど、ちぐはぐな印象を受けるなら、それは「おしゃれが好きな人」、または「おしゃれにお金を使うのが好きな人」。
自分が若かった頃に戻ろうとしない(P53)
今の自分を受け入れた上で、今の自分に合った、今の空気を体現している「今の服」を着続けること。それが、若い気持ちを持ち続けるということであり、「若さ」。
ワンシーズン(3か月)に持っていたいアイテム数(P75)
・ふだん履きの靴 2~3足
・トップス 10~15枚
・ジャケット・カーディガンなどの羽織りもの 2枚
+冬ならアウター 1~2枚
好みによってボトムスにデニムを足したり、靴にブーツ、スニーカー、バレエシューズを足したり、趣味のための靴を足してもOK。
キーワードは「今週2回以上着たい服」(P83)
今の行動範囲。
今の行動様式。
今の時代の気分。
この3つに合っているのが、自分が着ていても心地よく、人から見てもおしゃれに感じられる服。
自分のスタイルを見つける(P87)
スタイルとは、「究極のワンパターン」のこと。
おしゃれな人は、みんなスタイルを持っている。
おしゃれになるということは、自分のワンパターンを見つけること。
服を買うのは、パズルの「足りないピース」を探しに行く作業(P98)
手持ちのピースを確かめ、本当に必要なものが何なのかをわかってから買い物に行かないと、パズルはいつまでも完成しない。
買い物には、組み合わせる予定のトップスやボトムスを着ていく(P98)
今の服はバランスが独特なので、以前に買ったアイテムと併せようと思っても、実際試すと着丈やラインが去年のバランスと違っていてしっくり来ないことも。こういう時は、組み合わせるものも一緒に「今年もの」にアップデートするしかない。
靴もふだん一番履く靴で行く。
買っていいのは「今着る服」だけ(P100)
今すぐ必要な服、明日にでも着ていきたいと思う服なら買ってOK。
明日ではないなら、せめて1週間以内に着る服を買う。
それ以上先に着ようというものは買ってはダメ。
今の気分と生活に合っていない服は、タグがついたままクローゼットにぶら下がっている結果になる。
定番アイテムをアップデートする目安は2~3年(P123)
新しいものを買ったら、古いものはすぐに処分するのが理想。
コストパフォーマンスは「何年着るか」ではなく「何回着るか」で判断(P131)
「今すぐ着る」ものだけを選び、買ったら取っておかずにどんどん使わないと、本当にムダになってしまう。
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