かなり人気があったらしく、半年以上待った。
とても実践的な内容で、面白く読めた。
◆目次◆
はじめに
第1章 「正しい食欲」と「間違った食欲」がある
第2章 「正しい食欲」は運動で取り戻す
第3章 正しい食事をするための生活習慣
第4章 「食」を味方にできる人、できない人
第5章 実践!村山食堂
おわりに
著者・村山彩さんは過食気味で不健康な10代、20代を過ごし、仕事のパフォーマンスも悪かったという。
それが、結婚をきっかけに食生活を見直し、夫の職場の人の薦めでトライアスロンに挑戦し、心も体も健康的なライフスタイルに転向。
現在は「食欲コンサルタント」として活躍されている。
最初から、衝撃の連続。
実は、現代日本人の摂取カロリーは決して高くないそうだ。終戦直後、1946年より減っているのに、メタボの人は増えている。
ではなぜ、太りすぎの人が増えているのか?それは、「食欲センサー」がくもっているから。
この「食欲センサー」が正しく働く状態にリセットできれば、食べたいものを必死で我慢する必要がなくなる。
よく聞きますよね?「食べたいものを食べています」と言いながら、とてもスリムなモデルさんたち。ああいう人たちは、決して嘘を言っているのではなく、食欲センサーが正常に働いているのだそうだ。
そして、そのやり方は、決してむずかしいものではない。
その方法とは、簡単にいってしまえば、二〇分程度の汗をかく運動をして、おなかをすかせてから、バランスのいい食事をとることです(P10)。
「間違った食欲」を手放し、体がもっている本来の食欲のセンサーを取り戻せば、体が本当に必要としているものを「食べたい」と思うようになる。つまり、食べたいものを我慢する必要がなくなるということ。好きなものを食べていても、健康で、太らない体を手に入れることができるということなのです(P40)。
運動に関しては、特に指定がない。おすすめなのはランニング、とあるくらい。ストレッチで汗ばむまで体を動かすのはむずかしいが、ランニングなら20分で充分だからだ。
つまり、この本のほとんどは、栄養に関する正しい知識と、しっかり栄養をとるための考え方だ。
私たちは長い間「カロリー」を重視してきた。カロリーを制限すれば、体重は減るものだ、と思ってきた。だが、それは間違いだという。
例として挙げられているのは、
「おにぎりだけ」
「おにぎり+豚肉」
太るのはどっち?というケース。
今までの常識で考えれば、おにぎりだけの方がカロリーが低い分太らないと思うが、実は、豚肉もとった方が太りにくいのだそうだ。豚肉に、糖質の燃焼を助けるビタミンB1がたくさん含まれるため、脂肪になりにくいという。
こんな、今までの常識を覆すようなことがたくさん書いてある。
特に役に立ったのは、野菜と果物の1日の目安量。また、栄養のバランスを取るために、色が5食揃った献立になっているかチェックするといいという(どちらも下のメモにあります)。
献立の立て方も載っていて、毎日自炊するわけではないひとり暮らしの人でも簡単に取り組める。
著者が「バランスのいい食事」の目安にしているのは、農林水産省と厚生労働省で出している「食事バランスガイド」。そう、粗食の本でボロクソに言われていたあれ、であります。
私も抵抗がないわけではないが、結局粗食で私の健康は回復せず、実家で何でも食べるようにしてからよくなったので、私にはこちらの方が合っているような気がする。
健康法、食事法は合う合わないが人によって大きいので、試してみるしか方法はない。
印象に残ったのは、「お金の悩みとダイエットの悩みは似ている」という話(P168)。
ファイナンシャルプランナーが「お金が貯まらない」という悩みを持っている人にまずアドバイスするのは、「現状把握をしてください」ということ。お金を貯めようと思ったら、まず家計簿をつけて、何にいくら使ったか把握しなければ、そこからの対策を立てることができない。
食の管理も同じ。まずは自分の現状を「知ること」が大事。自分が何を食べているのか知らなければ、何をどう変えていいかもわからない。
それには、家計簿と同じように食べたものを記録して、己を知ることが一番だという。
「本能に従って」、とか「カラダの声を聞く」と言えば聞こえはいいが、それが狂ってしまっていたら何にもならない。
毎日20分運動するのはハードルが高いが、早歩きからでもいいそうだ。
食べたいと思うものが本当に体に必要なものなら、これ以上幸せなことはない。
食欲の暴走に悩んでいる人は、ぜひ読んでみてください。
私のアクション:とりあえず、外に出て歩く
※この本の内容がまとめられたページはこちら:
※続編も出ています→『あなたは半年前に食べたものでできている 実践編』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
野菜は潤滑油のような役割(P47)
車でいえば、ガソリンが炭水化物や脂質、ボディ(車体)がタンパク質、それらをスムーズに動かすエンジンオイルがビタミンやミネラルの役割。
(中略)
エンジンオイルがなくても車は動くが、やがては調子が悪くなる。野菜を食べなければいけない、と言われるのはそういう理由。
それでも、あくまで野菜はサポーター。他の栄養素と一緒にとって、初めて効力を発揮することが多い。
おかずは色で考える(P108)
意識して揃えるのは5色。赤、緑、黄、白、黒。
赤はトマトやにんじん、赤身の肉など。
緑は葉物野菜。
黄色はさつまいもやかぼちゃ、卵やチーズも。
白はごはんやパン。
黒は黒ごまのほか、ひじきやもずく、わかめなどの海藻類。
ねぎ、しょうがなどの薬味をとる(P117)
ガソリンを燃えやすくする、つまり代謝を上げるのはビタミンB群だが、それビタミンB1の働きを助けるのがアリシン。
アリシンはニンニクやニラ、玉ねぎ、ねぎなどの香味成分に多く含まれている。できるだけ食べるようにすると効率がよくなる。
野菜はなるべくカラフルに色を揃える(P119)
いろいろな栄養素が取れるので、色が違う旬のものを2種類は買う。
1日に必要な野菜は350g、果物は200g(P120)
葉もの野菜なら、両手1杯くらいが約70g。葉もの野菜だけで1日の野菜量を満たそうとすると、両手5杯分とらなければならない。
温野菜にすると、片手にのるくらいが70gなので、片手×5杯が1日の必要量。
重さで考えれば、葉もの野菜は軽いのでたくさんの量が必要になるが、ブロッコリーやにんじんなど重さのあるものは少ない量ですむ。
根菜類をたくさん食べると、重量が重くなるので、それだけ野菜のかさが減らせる。
果物は1日200gが目安。りんご1個で200g、みかんなら2個、グレープフルーツは1個、ぶどうは1房。
果物は固定費にしてしまうのも欠かさずとる方法のひとつ。1か月3000円くらいで。
「体貯金」と「心貯金」の割合は8:2くらいが目安(P128)
ストイックに「体貯金」に励むと、突然暴飲暴食に走ってしまうことも。
たまにはケーキもラーメンも焼き肉も食べていい。運動もサボってもかまわない。ただし、この時は罪悪感を持つのではなく、「ああ、おいしかった」と心を満たす。
たまには食べる。たまにはぐうたらする。「心貯金」として、しっかり心に貯めていく。
「体貯金」を崩すのは、全体の食生活のうち2割くらいにとどめるよう心がけると、バランスがよく長続きしやすい。
メンタルを強くして、力を発揮できるように、毎日「自分の記録」をつける(P164)
どんなものを、どんな風に食べたのか、どんな運動をしたのかと、その日の自分の行動や結果、感想を日記のように書いておく。
すると、食事や運動と、自分の心身との関係がはっきりわかる。
記録をつけていれば、どんな食事と運動が自分を強くするかがはっきりとわかる。
毎日の献立の考え方(P178)
1.メインのおかずを決める
献立作りは「まず主菜」。昨日のおかずとかぶらないもの、できれば外食でとりにくい魚を多めに食べられるように考える。
2.野菜のおかずを決める
副菜のひとつめは、野菜のメニューにする。緑、赤などの色はここで揃えてしまう。
3.海藻、きのこ、豆腐でもう1品
副菜のふたつめは、白と黒を中心に考える。豆腐の白、ひじきやわかめ、ごまの黒をとれるように。
4.汁もので、不足しているものを補う
5色で足りないものを汁ものに入れると考える。野菜が足りていなければ、野菜スープ。黒がなければ、わかめのみそ汁。