毎日ゴキゲン♪の法則・スピ編

これからは「自分ファースト」で

「前向きな気持ち」は心臓病も治す☆☆☆

 

笑いと治癒力』の続編。続編があるんだ、と思って軽い気持ちで借りて読んでみたが、前作よりもずいぶん医学の専門書の要素が強く、しかも社会的な内容でかなり歯ごたえがあった。


こちらのブログで紹介するにはややハードかもしれない(「楽しい暮らし♪」がテーマなのに、すみません)。

 

◆目次◆
第1章 数字の意味
第2章 もう一度くり返して
第3章 反撃開始
第4章 手術、イエスかノーか
第5章 心とムードと機械
第6章 冗談とストレス
第7章 再生の冒険
第8章 人生は六十三歳から
第9章 情報伝達者としての医師
第10章 精神と統計
第11章 「ウィ・キャン・ドゥー」の会
第12章 医学界にも消費者運動
第13章 情緒的欲求の本質
第14章 変わる病気のファッション
第15章 自律意識の強化
第16章 究極の敵、パニック
第17章 病身を超越して
要約
エピローグ 皮肉と奇形
訳者のことば
<解説>医療の位置づけ(徳永進)

著者は、治る確率は500分の1、と医師に診断された膠原病から回復した経験の持ち主だ。その経緯を綴ったのが前作。
その16年後、再び「自分の考え方で病気を治すことができるか」に挑戦することになる。


今回は心臓発作だ。はっきりとは書いていないが、おそらく「心筋梗塞」だろう。もともと著者は心臓に問題があったらしく(自覚症状はなし)、心電図の検査結果によって保険の加入を断られるほど重大なものだったようだ。

しかし、その時も医師の診断(安静にしていても余命は18ヶ月)であきらめずに自分らしく生きることを選択、テニスをしたり、子どもと遊んだりしても発作を起こすことなく10年以上過ごしてきたのだ。


今回も、著者は原因はストレスだろうと考える。仕事が立て込んで、アメリカ全土を飛び回る忙しい毎日を送っていたからだ。

そこで、著者は必要な生活改善は自分でやるから、と主治医がすすめるアンジオグラム(血管の状態を調べるための検査)とバイパス手術を受けないことにする。


徹底した食事の管理と運動により、状態はめきめきとよくなる。
もちろん、素人がやみくもに判断したのではなく、仕事の関係で得られたたくさんの人脈によって論文を調べたり、別の医師の診断を受けてセカンドオピニオンも得ている。

その結果、ゴルフやテニスも問題なくできるくらい回復し、医師は自然に血管が増えて血液供給に問題がなくなったのだろう、と診断する。
このようにして、手術をすることなく、著者は健康を回復した。2度目の挑戦にも成功したのだ。


一番の敵はパニック。もちろん、これは心臓発作だから言えることかもしれないが、他の病気にも当てはまる。
急に症状が出たとか、検査を受ける時、医師の宣告や入院した時の精神的ダメージが一番負担になる。
それを知っていれば、心構えもできるし、家族がそういう状況に置かれた時に少しでも不安を和らげることができるかもしれない。


前著で推奨されていた「笑い」とは、実はもっと広い意味がある、とこの本では繰り返し書かれている。

 ……私の本を注意深く読んでくれた人は、「笑い」は単に積極的情緒のすべてを指す比喩であることを知ったはずだ。希望、信念、愛情、生への意欲、快活さ、ユーモア、創造力、明るい気軽さ、信頼、大きな期待――そういうものはすべて知力の効力を持つと私は信じていた(P27)。

つまり、“コメディ映画やジョークの本で笑う”ことが重要なのではなく、明るく前向きな気持ちを持てることが重要なのだ。


――という内容なのだが、前作ほど読後感がスカッとしない。
著者は前著が評判になったことにより、医学界とつながりが深くなり、発作を起こした時はUCLA医学部に籍を置いていた。このため、一流の医師の意見と論文などの豊富な文献が得られる立場。一般の人がここまで調べ抜いて決断するのはむずかしいだろう。
つまり、環境が特殊すぎて、読者が「読んだ内容を自分に活かせる」とやや思いにくいのだ。


しかも、とにかく分厚い。前よりも医学界、社会の問題に切り込む内容が増え、個人の体験談をはるかに超えてしまっているので、ちょっと読むのがしんどいかも。
医師への提言もかなりあるので、どちらかというと「医師に読んでもらいたい本」かもしれない。
うしろに「要約」があるので、読むのがしんどくなったらここをまず読むと内容はつかめる。


それから、訳が古く感じるところがいくつかあった。たとえば「積極的情緒」という単語がたびたび出てくる。ポジティブシンキングのことだろうか。同じ翻訳者で、前作は気にならなかったのだが、ちょっと残念。
前作は何度かタイトルを変えて出版し直しているので、その時に手を入れているのかもしれない。


病気になった時、すべてを医師任せにしないために、自分に何ができるのか。食事や生活習慣も大きいが、自分の意識の持ち方で変えられることもたくさんある。
著者の、「ベストの方法を選びたい」「医師に言われるままではなく、自分で納得して決めたい」という姿勢は貴重だ。


ご自分や家族に心疾患のリスクがある人には、いろんな面で参考になる本。
それ以外では、医療関係者や医学界の問題に興味がある人にぜひ読んでもらいたい本です。
私のアクション:意識的にリラックスする時間、何もしない時間を持つ


関連記事

life.yasuko659.com

 



以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

コレステロールとストレスの関係性(P49)

ハーバード大学医学部大学院教授ハーバート・ベンソン博士は高いコレステロール値を引き下げる努力と、思考、行動の型との間に相関関係があると説く。そして明らかな証拠によって、動物性脂肪の摂取量を減らすだけでは不十分であり、生活の中の精神的緊張を緩めること、ストレスへの接触とストレスのコントロールとの間のバランスを保つテクニックを開発すること、そのふたつのことが大切であると言う。

脳の分泌物の可能性(P135)

最近の医学研究によって、脳の生産する非常に他種類の分泌物――健康の維持と病気の克服に役立つ分泌物――のことがわかってきた。ハーバード大学医学部大学院のリチャード・バーグランド博士は、人間の脳が単に意識の座だけではなくて、腺、しかも人体でもっとも多産な腺であるという、一世紀以上も前の、フランス人の説を復活させた。脳は人体の種々さまざまの要求に応じて「処方箋を書く」能力を持っているが、博士は脳が、その能力の一部として、上記のような分泌物をほとんど無限の組み合わせ方で組み合わせることができるという、驚くべき証拠を示したのだ。

ハーバート・ベンソン博士の「リラックス反応法」(P221)

1.静かな環境――気を散らすようなものや、外界の雑音はできる限り防止すること。
2.ゆったりした姿勢――できるだけゆったりした姿勢をとること。椅子も楽に掛けられて、頭や腕をもたせかけられるようなのがいい。靴も脱いで、両脚を6、7センチの高さの台に乗せる方がいい。
3.順序を踏んだリラックスと受け身の構え――まず目を閉じて、規則正しく、深い呼吸をする。筋肉を順番に緩めていく。最初は両足、それからふくらはぎ、腿、腰、腹、胸、肩、首、頭と力を抜いていく。
4.精神統一――気を散らす雑念や悩みを忘れるようにする。あるひとつの単語か、シラブルに注意を集中して、それをゆっくり、続けて繰り返す。外界の刺激から心の中のある焦点に意識を転じることが大切だ。この手順ははじめから終わりまでに約20分かかるが、それを1日に2回ずつ繰り返す。

医師が治療を求められる患者の85%は自然治癒的な病気である(P265)

つまり人間の身体には、そのたいていの健康障害に対応する力が備わっているのだ。
※『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』編集長、インゲルフィンガー博士の説

パニック・恐怖・抑圧された憤怒・激高・挫折感・憂うつなどがみな、人間の生理作用に恐るべき負担をかける(P272)

人々は、そういうネガティブな力の結果として、病気になる。ホルモンの流れが悪影響を受け、心臓の機能が変化し、血管が収縮する。