毎日ゴキゲン♪の法則・スピ編

これからは「自分ファースト」で

J-POPは工業製品だった?☆☆☆☆

 

でも、本業は芸人さんなのだそうだ。それも、音楽のモノマネ*2

私がこの本の存在を知ったのは、NHK・Eテレの「SWITCHインタビュー 達人達(たち)」。
番組内で披露されたGLAYの「作詞作曲モノマネ」が、とにかくすごいクオリティだったのだ。

読みたいと思い、さっそく図書館で予約した。かなりの人気で、やっと読めた。
本もさすがのクオリティ。ただのタレント本ではない。

 

◆目次◆
はじめに
第1章 ヒット曲の法則
第2章 なぜCDが売れなくなったのか?
第3章 モノマネから発するオリジナリティー
第4章 日本のポップスはすべてノベルティー・ソングだ
おわりに

読んで、舌を巻いた。第1章の冒頭に「ヒット曲を生みだす時代背景」の分析があるが、とにかく説得力がすごい。
この人はたまたま興味の対象が音楽だっただけで、もしそれが経済やトレンドだったら、“○○経済研究所主席アナリスト”といった肩書きでテレビやネットに引っ張りだこだったに違いない。そのくらい鋭いのだ。
特に、なぜ“泣かせるコンテンツ”が流行るのか、その解説には納得。


著者はこのように綿密に分析した結果、J-POPは大量生産できる工業用品のようなものだ、という結論に達する。
そして、たどり着いた「ヒット曲の法則」を駆使して作った『十年目のプロポーズ』という曲を発表、これがスマッシュヒットになったのだ。

確かに流行りそうな曲だ。


著者が見つけた「ヒット曲の法則」は次の4つ。

  • コード進行
  • 歌詞
  • 楽曲構成
  • オリジナリティー(P26)

たくさんの実例を挙げて説明してあるので、わかりやすい。題材がヒット曲なので、J-POPをふだん聴く人なら、誰でも楽しく読めると思う。
ただ、一部コードに関する記述があるので、楽器を触った経験のない人だとわかりにくいところはあるかもしれない。

タイムリーだったのが、同じくNHK・Eテレで放送中の「亀田音楽専門学校(シーズン2)」。第5回『恋するコード学~純情編~』で紹介された“純情コード進行”とは、実はこの本でも取り上げられているカノン進行と同じもの*3
聴けばああなるほど、と納得なので、ぜひ見て確認してください。
※2014年11月5日(水)深夜24時から再放送があります!


もうひとつ、この本は「ヒットの法則」を学ぶ本としても読める。
もちろん書かれているのは音楽に関してなのだが、著者が4要素のひとつに挙げている「オリジナリティー」は、他の分野でも応用可能だという。
“流行る要素とは何か”という目で見ても面白い。


読みながらずっと「すごい才能だなあ」と感じていたが、「おわりに」のエピソードでそれは深い確信に変わった。
大瀧詠一さんがマキタさんをとても評価していたのだそうだ。生前あの大瀧さんが「期待している」と言われたのなら、間違いない。
J-POP好きなら、ぜひ読んでみてください。
私のアクション:「人格/規格」の公式に当てはめてヒット曲を聴いてみる
※この本のメモはありません

 

*1:主人公の小学校の恩師、教員時代には上司である校長先生役でした

*2:多芸多才すぎてひとことでは言えないみたいです

*3:亀田音楽専門学校では、“純情コード進行”は「カノン進行の発展系」という位置づけでした