珍しく、書店で見かけて買った本。私の不調は必ず不眠から始まるので、何か手軽にできることがあればと思って読んでみた。
脳科学大好きな私でも「面白い!」と思える、睡眠の枠を超えた価値ある1冊だった。
◆目次◆
第1章 やる気にはメカニズムがある
第2章 やる気の警告サインをキャッチする
第3章 朝5分―光の法則
第4章 昼5分―負債の法則
第5章 夕方5分―体温の法則
第6章 眠りの悩みを解決する
著者は作業療法士。患者さんのリハビリを指導する上で、より効果的な方法を求めて脳の仕組みなどを研究した結果、眠りの質を上げることで大きな成果を上げられたそうだ。
患者さんのやる気を上げるためにやったこと、それは「昼間5分間目を閉じる」。たったこれだけで?と思うが、これが著者の言う「睡眠の法則」にのっとった方法なのだ。
睡眠の関する本は世にたくさんあるが、こんなにシンプルで取り入れやすい方法も珍しい。
その仕組みは、「睡眠を司る生体リズムは3つあり、これがずれると睡眠の質が落ち、さまざまな不調が現れる」。そこで、「簡単な方法で3つのリズムをしっかり同調させる」というもの。
その方法は次の通り。
起床から4時間以内に光を見て、6時間後に目を閉じ、11時間後に姿勢をよくする
・朝5分―光の法則……光を見てメラトニンを減らし、脳を覚醒させる
・昼5分―負債の法則……目を閉じて脳の睡眠物質を減らす
・夕方5分―体温の法則……姿勢をよくして体温を上げ、眠りはじめの体温を下げる
さらに、美肌やダイエットにも成果があるのだそうだ。
読んで一番驚いたのが、いわゆる「お肌のゴールデンタイム」の嘘。
“夜10時から2時の間に眠っていないと、お肌が回復しない”と女性誌などにはうんざりするほど書いてあったが、工夫をすればこの時間に眠れなくてもちゃんと成長ホルモンは出るのだ。
ポイントは、「眠り始めに深い睡眠になるようにする」こと。それには「深部体温を下げる」ことが重要で、このために大切なのが「夕方5分、姿勢をよくする」こと(他にも方法があります。下のメモをご覧ください)。
背中の筋肉を動かすのが最も効率がよく、デスクワーク中でもやりやすいように、と著者が考えた軽い体操のような動きも紹介されている。
朝昼夕方5分ずつ意識するだけ。
さらに、仕事柄睡眠サイクルが安定しない人のためのポイントもある。
この本を読めば、いかに睡眠が大切か、睡眠の問題がいろんなところに影響したり、不調を引き起こすかがよくわかる。
忙しいとついつい睡眠は削られたり、後回しにされてしまうが、長い目で見ればそれはとても危険。
残念ながら即効性は感じにくいようなので、辛抱強く続ける必要はあるが、著者自身この法則を守ることで、持病と思っていた偏頭痛がなくなったそうだ。
仕方がない、とあきらめているいろいろな不調が、もしかしたらこの方法を取り入れることで改善するかもしれない。
知っているのと知らないのとでは今後の人生が大きく変わります。脳をうまく使うためにも、ぜひ読んでみてください。
私のアクション:夕方姿勢を正す習慣をつける
関連記事
読書日記:『誰でもできる!「睡眠の法則」超活用法』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
■脳の警告サインを知る
ペンで机をコツコツ叩く、タンスのカドに足の指をぶつける、これらはすべて脳がしっかり目覚めていないことを知らせるサイン。
すれ違った人の肩やドアにぶつかってしまうのも同じ現象。
■「ストレスで眠れない」は、実は「しっかり眠っていないから、どうでもいいことをストレスに感じてしまう」が正しい
■「ながら活動」は脳には負担になる
テレビをつけたまま仕事をしたり、音楽を聴きながら作業すると、脳は必要以上に興奮し、日常的に注意力が低下して、物忘れのような警告サインが出てしまう。
■メラトニンの材料はセロトニン
朝5分の法則でメラトニンを減らすと、自然に昼間のセロトニンが増え、夜にはそれがメラトニンになるので、昼間には安定して能力が発揮でき、夜には自然に眠くなるという理想的なサイクルが作れる
メラトニンには、起きている間に減らせば減らすほど、暗くなった時にたくさん分泌される
■眠くなる前に目を閉じる
眠気が出たら仮眠するのではなく、あらかじめ、眠気が出るであろう時間帯(起床から8時間後)を予測し、それより前に目を閉じておく
■意識して「90分サイクル」を使おう
人間は昼間起きて夜眠る単層性睡眠のリズム。イヌやネコなどの動物は、起きたり眠ったりを繰り返す多層性睡眠のリズムを持っている。
まとまって眠れない時には、応急処置として多層性睡眠を参考にする。
→やる気を引き出すために、90分のサイクル(人によっても違うし、同じ人でも日によって変わる)を活用する。90分ごとに意識して目を閉じるようにする。
頭がボーッとしていると、カフェインをとるなど、無理矢理目覚めさせようとしがち。しかし、脳の覚醒はいったん下がらないと上がらない。慢性的に睡眠不足の人は、隙を見つけては目を閉じてみるとよい。
■深部体温を意識して上げることで、深く眠れるようになる
体温を上げるには、筋肉を使う→起床から11時間後に筋肉を使えば、体温を有効に上げることができる
■起床11時間後に体温を上げるタイミングを逃した時は、就寝前にカバー
眠る1時間程度前に、ストレッチなど軽い運動をする
運動が難しければ、入浴で体温を上げるとよい
熱いお風呂が好きなら就寝2時間前、ぬる湯でもいいなら就寝1時間前が目安
シャワーで済ませる場合は、足首にシャワーを当てる。くるぶしから3センチほど上を温める。
足首が温まると、足の裏から汗で放熱して深部体温が下がる
シャワーの後は足首を冷やさないのがポイント。レッグウォーマーを使うとよい。この時、足の裏から放熱するので靴下ははかない方がよい
■成長ホルモンの分泌量は、睡眠の深さで決まる
睡眠の深さは、深部体温によって決まる。運動によって眠りはじめの深部体温を下げれば下げるほど、眠りは深くなり、成長ホルモンの分泌が増える
■睡眠不足は成長ホルモンを減らすが、さらに減らしてしまうのが夜中の食事