ある時、テレビでこの本の著者である小林弘幸さんを見かけた。順天堂大学病院で「便秘外来」をされている医師で、アンチエイジングの鍵は「自律神経のバランス」だ、と話されていた。
ちょっとした心がけでバランスを整えることができる、という小林先生ご自身がとてもお元気そうでハツラツとされていたので読んでみたくなった。私が健康関係の本を選ぶ基準は、たいてい著者自身が輝いているか、というものだ*1。
ところが、図書館の本はすべて予約がものすごい数。便秘に悩む女性は多いからか。その後たまたま店頭で平積みになっていたのを見かけて、読んでみたところこれならできそうだな、と思って買って読んだ。
小林先生説によると、女性は40代から、男性は30代から自律神経が乱れてくるのだそうだ。それも、交感神経優位に傾きがちになるとか。
おお、これは新説だ(私にとっては初めて)。今まで、自律神経といえば安保徹先生の本ばかり読んでいて、安保先生は副交感神経優位に傾く場合もあるとされていた。どっちが優位になりすぎても病気が出る。たとえばアレルギーは副交感神経優位になりすぎた時に出るもの、とされていた。
バランスを取ることが必要、というのはどちらも同じだが、年齢とともに交感神経優位になりやすいのなら、おのずと対処法も違ってくる。
腸を整え、誰からも愛される「自律神経美人」になるためには、まず楽に生きること。
ストイックすぎる生き方は、本当に腸によくありません。ですから、「楽な方法で、幸せに美しく健康に」ということが、僕が今回この本でもっとも伝えたいことのひとつなのです。(P31)
いろんな本を読んで、さまざまなことを実際に試した。でも、結局は楽じゃないと続かない。心身に負担をかけるようなものは私には無理だ、ということがよくわかったので、楽に生きる(ただし手抜きではありません)というのはうれしい。
私が一番感じたのは、実は“「用意周到」な準備が心身の健康には大切だ”ということ。パニックになるのが自律神経には一番よくないそうで、焦らない・慌てないためには準備が必要不可欠。前もって準備をしましょうとか、約束の10分前には行っておくとか、マナーの本のような記述も。
いつもあたふた、ドタバタと急いでいるのが自律神経のバランスを欠いていたのか、と反省した。
いつもゆっくりゆったりを心がけることで、健康はもちろん、エレガントに見えるなら一石二鳥だ。
タイトルにあるように“きれいになる”がコンセプトだからかもしれないが、お医者さんの書いた本にしては気軽に読める。
自分を大事にして身も心も美しく生きられるヒントが満載です。
私のアクション:「After you」を口癖にする
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
自律神経の一番の大敵はストレス(P17)
もしもつらいこと、うまく行かないことがあったら、一度立ち止まって、ゆっくり呼吸をする。ゆっくり微笑む。ゆっくり動く。ゆっくり生きる――。
そうすれば、健康も美も仕事や人間関係も、すべてがいい方向に変わってきます。
腸をリセットする、断食法2(P27)
1.まる1日=24時間、水だけを飲み、他は何も口にしない
2.3日間かけてゆっくりリセットする。朝はバナナ、ヨーグルト、水。昼はサラダ。夜はかつお節を軽くかけたおかゆ。これを3日間。バナナは何本食べてもいいし、ヨーグルトも何杯食べても大丈夫。そして、もしも夜、おかゆを作るのが面倒であれば、サラダに変えてもかまいません。
「楽な健康」は「手抜き」ではない(P31)
「楽な健康」というのは、本当の意味で自分を大切にし、自律神経を整えるポイントを上手に意識して、「ゆるやかに、ゆとりを持った生活をしてください」ということです。
生真面目で努力家の人ほど危険(P31)
「ストイックになりすぎる→自分を否定していじめる→自律神経のバランスが乱れる→腸内環境が乱れる」という落とし穴に陥りがちです。
炭酸水の3つの効果(P61)
1.炭酸が胃腸の働きを適度に刺激し、便秘の改善も期待できる
2.炭酸で胃が膨らむことで、満腹感が得られ、食事の量を減らすことがしやすくなる
3.血管を拡張してくれるので、血行促進効果が期待できる
(中略)
炭酸水を飲むなら、特に夜、ゆったりとした夕食の時か…お酒を飲む時のチェイサーにすることをおすすめしています。
1:2呼吸法(P67)
「1で吸って、2で吐く」、つまり「1:2」の呼吸法。これだけです。
さらに具体的にいえば、3~4秒ぐらい花で吸って、口をすぼめて6~8秒間で口からゆっくり吐く。特に、吐く方はできるだけゆっくり長くを意識して吐いてください。なぜなら、ゆっくり長く息を吐くことで、頸部にある圧受容体というのが反応して、副交感神経を大変効果的に高めてくれるからです。
「呼吸が浅くなっているな」と気づいたら(P71)
とにかく、一度、ゆっくり深呼吸をするようにしてください。
(中略)
そこで、あらためて自分の呼吸が浅くなった原因を静かに見つめ直すこと。
そうすれば、たいていのことは、そこまで呼吸を浅くして、自分の心と体にとてつもないダメージを与えることのほどではないという風に、見方が変わるはずです。
不安に襲われたら、とにかく上を向いて深呼吸(P74)
なぜなら、上を向くと、気道がストレートになって、呼吸が深くなりやすいからです。上を向いて深呼吸して、体にたっぷりの酸素を取り入れる。すると、自律神経が安定し、脳と筋肉の活動が正常になり、やがて落ち着いた明るい気持ちを取り戻せる――。
上を向いての深呼吸で、肩こりも解消(P74)
また、上を向いての深呼吸は、肩こり、首こりにも、とても効果があります。パソコンなどに向かって仕事をしていると、どうしてもうつむきがちになり、気道が狭く、呼吸が浅くなりがちです。
「上を向いて深呼吸」を“やる気スイッチ”にする(P76)
深呼吸を自分の「やる気スイッチ」と決めて、何かに取り組む時には、まず、ひとつ、上を向いて、大きく深呼吸をする。それを自分の生活の一部=ルーティンワークにすることで、みなさんの自律神経は整い、常にスムーズに「やる気モード」に入れる人になるはずです。
それでもどうしてもやる気が出ない時は(P77)
交感神経も下がっている状態なので、この場合だけ例外で、口を閉じ、鼻だけで、速く呼吸をしてください。吸う:吐く=1:1で、なるべく短く。「フッ、フッ、フッ」と1秒間の早さの呼吸を10秒間から始め、慣れてきたら5秒ずつ伸ばしていきます。最終的には1分間。
副交感神経を上げることが究極のアンチエイジング(P106)
副交感神経が下がると、肌や髪などの外見が衰えてしまうだけでなく、決断力や判断力も鈍ります。なぜなら、血管が収縮し、血流が悪くなってしまうからです。また、血流が悪くなると筋肉に血液が行かなくなるので、疲れやすくもなります。
キーワードは「ゆっくり」(P132)
朝、すべての支度をする時に、とにかく「ゆっくり」を心がける。そうすれば、その日1日、心も体も仕事も人間関係も、本当に何もかもがよい方向に変わります。なぜなら、とにかくゆっくりを意識して動くだけで、自然に呼吸が安定し、自律神経のバランスが整い、腸の動きも血流もよくなり、1日のはじまりがいい方向に動き出してくれるからです。
心を落ち着かせるには「ガムか水」(P133)
ガムを噛むという行為は実は、一定の咀嚼のリズムが、下がっていた副交感神経をとても効果的に上げてくれます。また、水を一口飲むことも、効果があります。
(中略)
「イラッときたら、ガムか水」。これを意識すれば、みなさんの自律神経は一瞬でリカバーできるようになるはずです。
自然は副交感神経の強い味方(P137)
人間は、五感で生きています。ですから、視覚・嗅覚・聴覚をどう味方につけるかでも人生は本当に変わってきます。
(中略)
そんなふうに、何かに追い詰められた気持ちになった時、ここぞという勝負の時、あるいは気分がくさくさしている時、そういう時はぜひ、空を見上げ、風や花の香りをかいでみてください。
(中略)
緊張感が強いと、目の前しか見えなくなり、ほとんど呼吸もしていない状態になります。ですから、他に意識を向けることが大切なのですが、その時に自然の力を借りると、無理せず視野を広げることができるのです。
約束時間10分前の法則(P139)
出社時間も、会議時間も、恋人や友人との約束も、どんな約束も10分前に行く。そうすれば心に余裕が出て自律神経は安定し、思わぬアクシデントやハプニングにあっても、どんな状況が起こっても対応でき、ミスも防げます。…最高のリスク管理法のひとつにもなるのです。
1日に終わりに7行前後の短い日記をつける(P145)
これは自律神経を整えるために、本当に効果があります。
(中略)
1日の終わりに短い日記を書き、嫌なことを「形」にするというのは、ものすごくいい心の解毒=デトックスになる(以下略)。
(中略)
…書く順番にもちょっとしたコツがあります。最初は「その日で一番失敗したこと」、最後に「その日で一番感動したこと」を書くこと。
目線を上げて歩く(P147)
うつむいて、背中を丸めて歩いていると、気道が狭まり、呼吸が浅くなり、血流も滞って、自律神経のバランスはどんどん悪くなっていきます。
ですから、「あ、今日はちょっと調子が悪いな」と思った時ほど、目線を上げて歩くことを意識してください。理想的な歩き方は、背筋を伸ばして、肩の力を抜き、頭の中心がまっすぐ空につながっているような意識で首を伸ばし、足ではなく、おへそから前に出すような気持ちで歩くこと。
ミスをしやすい時(P153)
1.余裕のない時
2.自信がない時
3.未知のものに遭遇した時
4.体調が悪い時
5.環境が悪い時
この時が一番自律神経が乱れ、ミスをしやすいのです。ですから、そんな状況になった時は、「あ、乱れてるな」と意識する。それで、もう50%、問題は解決します。
日ごろのリスク管理でパニックは避けられる(P154)
…つねに自律神経を安定させる方向に持っていく=パニックになることを避けるには、日ごろのリスク管理や準備も、とても大切です。
たとえば…絶対に忘れてはならいものを「さけとかめ」(さ=財布。け=携帯。と=時計。か=鍵。め=名刺)と言いながら、玄関を出る前に一度、確認すること。さらに、カードや免許証が入った財布を紛失した際に連絡するべき電話番号も、すべて手帳に書いて持ち歩いています。そうすれば、忘れ物をして慌ててパニックにならずにすみますし、うっかり財布を落としてしまっても、手帳を見て、何カ所かに電話をすればすみます。
(中略)
ほんとうに、ほんのちょっとの手間で、人は誰でも不慮のトラブルを回避し、心を落ち着かせることができるのです。…「備えあれば憂いなし」。この言葉は、「自律神経美人」を目指すみなさんには、特に意識していただきたい真理の言葉なのです。
焦った気持ちが楽になる魔法の言葉(P157)
「After you」=「お先にどうぞ」です。
ストレスはあえて感じる、それがストレスを軽くするコツ(P159)
アバウトではなく、何がストレスなのか(家庭、仕事、環境、健康など)を明確にすれば、それにどう対応すべきか、対処法が見えてきます。
ひとりでがんばらない、「Take it Easy!」=気楽に行こう(P162)
特に、ひとりでがんばりすぎるタイプの人は、時々、心の中で自分にそう声をかけてあげてください。
自分の実力を一番発揮できる服が究極の勝負服(P183)
自律神経的に言えば、着てきて心地がいいもの、気分が上がるものが、その人を一番美しく見せてくれるファッションです。勝負服というものがもしもふだんはめったに着ないようなもので、少しでもそこに窮屈さを感じるのなら、それはすなわち「最高の自分を出せない服」ということになるからです。
(中略)
ですから、「勝負服」という言葉はもうみなさんの人生から排除して、その時々で、「自分が一番実力を発揮できる服」を見つけること。心地よくて、自分の自律神経を最高に安定させてくれるファッション、それを自分なりに見つけておく。そうすれば…どんな時でも、最高の自分を演出できるはずです。
ロックは自律神経が一番整う音楽(P194)
なぜなら、ロックのビート=規則的なリズムが、自律神経のバランスを安定させるにはとてもいいからです。
本当に集中したい時はメトロノーム(P195)
…一定の速度のもの、リズミカルなものは、自律神経を安定させて、集中力を高めてくれるからです。
*1:美容業界における「クリームの法則」=これはお肌にいい、と高級クリームを勧める美容部員のお肌がきれいじゃなかったらそのクリームは売れない(よしもとばななさんの日記か何かで読みました)と同じ。健康を説いているのにご本人が不健康そうだったり素敵じゃなかったら信用できませんよね